Nachwort
(後書きという名の言い訳…ついでに言っておくとココも電波満開です 笑)






さて、約二週間ほどかけて細々と連載を続けてまいりましたが…。
正直皆さん「なんじゃこりゃ!?」という感想なのでは…というか現在読み直している私も「なんじゃこりゃ?」ですよ全く。
自分の描きたいモチーフを全てぶちまけて散らかしたとしか思えないような出来映えに愕然です。
いやぁ、一応描いてるとき(2、3年前ですが)は楽しかったんですよ。カトヤさんのストレート髪を描いたりロルフくんのスーツ描いたりとかまぁ色々。
電波な文章も次どう展開していけばいいのか、とか伏線張ったり(え、どこにそんなものが?!)してさ。

でもなんだろう、この
無理矢理終わらせた感は。

突っ込まれそうなんで、もう自分で突っ込んでしまいますが、ええ、
ページ数が足りなかったんですよ。
ノートっていうのは60頁が基本ですからね!
私の場合、ネームなど一切考えず、帰結点も全く決めないままいきなりコマ割りして描くのが基本なので、ページが半ばすぎになってからようやく
「うーん、どうやって終わろう?」と考え始めるという極めていきあたりばったり…勿論
この漫画もその一つです。
つーかいくらプロを目指してないとはいえ、極めて意識の低い描き方ですね…!そしてそんなモノを公開する私…。
ダメダメですみません…。

さて、こういった類の話に
作者が自ら解説をつけるほどむなしいものはありませんが、ドイツ語や固有名詞が入ってきたり電波過ぎてよく分からなかった方も中にはいらっしゃると思いますので、蛇足かとは思いますが少し内容について触れたいと思います。


1.話の舞台

ええと、まず漫画の舞台となっているのは私の愛してやまないドイツ東部の街・ドレスデンでございます。
ここはかつて連合軍の大空襲があった街でして、その数は不明瞭なものの、5〜12万の死者・行方不明者を出したと言われています。
よく史学ではこのドレスデン空襲と東京大空襲を比較したりしていますが、まぁ都市形態やら爆弾やらその他様々な違いがありますので、あまり比較するのも意味がないかなぁと、個人的には思っています。
1945年2月のこの大空襲により街は壊滅、日本と異なり煉瓦造りのドレスデンの街は瓦礫の廃墟となったわけですが、中でもドイツ一美しいと謳われた聖母教会はぎりぎり前部の壁が立つのみという良い感じに崩壊しまして、まさしく
東ドイツのアトムボンベドームとして「戦争の悲惨さを伝えるため」を言い訳に40年以上ほったらかしにしていたのでした。
ホントは東ドイツの経済難により再建が不可能だったんですね。
しかし東西の壁も崩壊、1990年に統一の悲願を果たし、ようやく再建へと乗り出したのでした…が。
統一後ドイツもやっぱり経済難、「2005年に完成させます!」とか言ってみたものの寄附が集まらなくてあやうく頓挫しかけてみたりと色々荒れ模様でした。
みんながドキドキハラハラしたそんな聖母教会でしたが、2006年にようやく完成、元の姿に美しく生まれ変わったのでした。
なので漫画とは少し違う展開になったのですね。
アレを描いていたときはまだまだ完成のメドはさっぱりだったのでああいう結末にしましたが、今だったらもう少し違うエンディングにする気がします。


2.宗教観&世界観

この話の軸になっているのは「廻」という言葉だったように思いますが、別に私そこまで輪廻を信じてるわけでもないんですよねー。
教会を出しておいてなんであえて仏教的(というかヒンズー的?)な話の流れにしたのか自分でも忘れてしまったのですが、これが実は私のイメージする世界観なのかもしれません。
「袖振り合うも多生の縁」と言いますが、母子の縁というのはかなり深いものだと思っています。
私の描く話(公開してないその他の話)は何故かいつも母と子の確執漫画だったりするんですが、まぁ別に私は母親と仲が悪いわけではありませんよ。
むしろ気持ち悪いほど仲良しです。「友達親子」というよりもはや「自分が二人いる」状態です(笑)
だからこそそういう話を描くのかもしれません…って私の話はどうでもいいんですが。
とにかく親子の縁というのはこの世界に輪を描いて幾千万も絡まり合って廻っていると思うんですね。
こういうことをあんまり熱く語るとますます「あちゃー」になってしまうのでこの辺でやめときますが、一つ一つの連鎖が幾重にも連なっていく情景というのは、世界観の話にのみとどまらず、日常の何気ない生活においても感じられる事柄ではないかなぁと思います。


3.ドイツ語「Überleben」とその意味

タイトルページにも語句の意味を載せてありますので何となく皆さんお分かりになって頂けているとは思いますが、もう少し細かい部分のお話をしますと、この
「Überleben」=「生き残る」という言葉、ドイツでは特別の意味を持って用いられることがあります。
それは敗戦国としての側面、すなわち「戦争で生き残る」という意味です。
今回、作品で度々登場する戦争のイメージは、直接的には聖母教会とリンクしているのですが、間接的にはタイトルの「Überleben」に繋がっています。
戦争についてを軽々しく扱うことは良くないことだとは思いますが、私にはどうしても戦争に対するトラウマがありまして、ついつい登場させてしまうモチーフの一つです。
まぁでも日本人て多かれ少なかれ戦争へのトラウマを抱え続けているものですよね。
その点ドイツも同じような状況があると言えます。現在もドイツのあちこちにアトムボンベドームのよーな教会の残骸があるのがその証拠でしょう。
個人的にはドイツとナチスを結びつける行為は好きでないので、今回は被害者としての「ドイツ」を描きました。
戦後ドイツでいわゆる「Überleben」の文学が流行った背景には、多くの犠牲者を出したにもかかわらず敗退した国家への憤りと共に、死者を犠牲にして生き残ってしまった者たちのやりきれない思いが混沌としていたドイツの内面があったと思います。
この辺のことは同じ敗戦国である日本ではとても共感しやすい部分ではありますが、ただ少し違っているのは「Überleben」文学が同時にユダヤ系ドイツ人にとってのものでもあったというところでしょうか。
かの有名なパオル・ツェランの『死のフーガ』も、強制収容所から逃れたユダヤ人の詩ですし、なかなか複雑な様相を呈しています。

で、漫画の方に話を移しますが、今回私が描きたかった(らしい)のは、その「Überleben」の精神と虐待から逃れた子供の気持ちを重ね合わせるということでした。
実際私には虐待された経験がありませんし、専門的に調べたことはありませんので、何とも薄っぺらい感じが否めませんが、それでも母親に傷つけられた子供が持つ歪んだ母親への思いというのを表現したいと思いました。
漫画でのロルフくんの心情というのは、描いた私自身にも分かりませんが(えー!)、彼はおそらく母親からの虐待を忘れることが出来なくても、それでも母親の愛情が欲しくて、母親を愛したいと思い続けて思い続けてそして狂気の世界へ入っていったのだと思います。
この辺は実に「愛されることより愛することを求めよ」なキリスト教的描写ではありますが、ま、ドイツ人だしこういう流れもいいかなーと。(適当)


4.細部へのツッコミ

で、まぁ全体的なモチーフの説明はこんな感じなのですが、何よりも最後のオチが
ホントギリギリですよね(笑)
お母さんは結局何故ああなったしまったのか。
ここは議論が分かれるところだと思うのですが、私としては別にロルフくんを殺人者として描いたつもりはないんですよね。
ただ読んだ方の中にはそういう感想を抱いた方もいらっしゃるかと思います。
やはりここは皆さんの解釈にお任せするしか無いですかね…しっかしロルフくんは最後どうなってしまったんでしょうね?
月下の名人の如く病院行きになってしまうオチはあまりにもありきたりで微妙なんですが、まぁでも帰結はそれしかないような…。

あとどうでもいいセルフツッコミですけど、前半でカトヤさんの家にいた男は一体何者なんでしょうか?(笑)
実は彼氏とかだったらカトヤさんは最悪な女になってしまいますよね…!
一応ルームシェアの同居人ということで描いたのですが、その辺
さっぱり伝わりませんでしたね。
いや、ホントは最後に出すつもりだったんですよ、彼。でも最初に言ったようにページが足りなかったんでカットに…。
名前すら出てないしね…まぁ、話には全く関係ない人物で、唯一出てくるシーンも何で出て来たのか分からないレベルですからホントどうでもいいんですけどもね。
ただ誰かに突っ込まれる前に突っ込んでおこうかな、と(笑)




…さてなんだか無意味に長いあとがきとなってしまいました。
言い訳が9割だったよーな気もしますが、最後まで読んで下さった方々、連載中に感想を送って下さった方々、本当にありがとうございました!!


30.04.2006 沫棋ヒロム 拝



















≫ついでに参考資料≪



ドレスデン聖母教会(1957年)

思わず年号を疑ってしまうんですが…羊の群れが哀愁を誘います。
このまま45年以上ほったらかしってのがスゴイですよね。
前部の壁は再建にそのまま使われました。



ドレスデンの売店でこのポストカードが買えます。
(Foto: Sächs. Landesbibliothek
Deutsche Fotothek/Möbius)








これが現在のドレスデン風景。
中央が聖母教会です。
(教会の写真は本サイトのAusstellungのDresdenの項目で見ることが出来ます。)

(Foto: Verlag-adam.de)